~これでも仕事用です~

少年PS特大号

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芳賀一洋さんについて書いた時に、アーティストにとってテクニックとは目的ではなく手段だ、と書きました。
ワタシどもが作っている「Gumi-chan1961」だって、けしてテクニック的に優れたものじゃない。もっと優れたテクニックを持ってる人なんて、それこそ世界中に山のようにいるはずです。
それでもワタシどもの作品が認められつつあるのは、ウケ狙いじゃない世界観があるからだ、と自負しているのですがね。

ところがなかなかこれが認められない。悲しいくらい。
でも世の中捨てたものじゃない。
とあることがきっかけで、ポール・スミス社の方から「これはいい、ぜひポール・スミス本人に見せたい」といっていただいたのです。
その後、ポール・スミス氏と何度かお会いする機会を得ましたが、こんなに心から「この人には100回転生しても敵わない」と思った人もいない。とにかくスケールが違うのです。
ポール・スミスという人を一言でいえば、超人ですらない。超人とは言葉通り人間を超越した存在なのですが、大人の男性や超人を経験した後、一周回って少年みたいなのです。
少年みたいたって世間知らずとかピーターパンシンドロームみたいとかじゃない。何しろ一周回ってるんだからコワイものがない。

とにかくね、会話の端々から物凄い勢いでアイデアが次々に飛び出してくる。いや飛び出すってのは正確じゃないな、もう周りが拾えないくらい身体からこぼれていくんです。
たぶん本人は面白いアイデアを出してる意識は皆無のはずです。ところがワタシのような凡人からすれば「今何気なく床に落ちたアイデアいっこあれば、もうそれで一生食っていけるんじゃね?」レベルなんだから、もう、どうやったって、敵いっこない。

正直にいえば、こんな話が浮上するまでポール・スミス本人はもとより、ポール・スミスのブランド自体に全然興味がなかったんです。
ワタシは元々グラフィックデザインをやってた人間なので、それにしてもポール・スミスって本当に凄いのか?と思っていろいろ見てみたんですが。
あいにくワタシはファッションは疎いのでよくわからないのですが、あのポール・スミスというブランドの象徴であるカラフルなストライプ、あれを見るだけでグラフィックデザイナーの端くれとして途方もない敗北感をおぼえる。
ちょっとでもグラフィックデザインを齧った方ならおわかりでしょうが、クールでカッコいいデザインをやりたければ、できるだけシンプルにしなきゃいけないんですよ。むろんシンプルでカッコいいってのも難しいんだけど、カラフルでカッコいいなんて、ネットスラングでいうなら「無理ゲー」で、さらにカラフルで明るくて楽しくて、しかもカッコいい、なんて発注がきた日にゃ、即答で断るレベルです。
ところがあのストライプは完全に別次元で、しかもよくよく見たら色の選別からストライプの細さに至るまで徹底的に計算されている。結果、常識では不可能なはずの、カラフルで明るくて楽しくて、しかもクールでカッコいい、を実現している。

もうひとつ、ポール・スミスといえば、彼の部下の人たちの言動です。
先ほども書いたようにポール本人は少年のような人なので、興味があることにはとことん食らいつきます。
でも実際はイギリスでサーの称号を得た、しかも世界的ブランドのトップです。残念ながらいくらポールが少年のように食らいついても、なかなかそれは許されない。何せ秒単位で動かなきゃいけない人だから。
そんな一見困った少年ポールを、部下の人たちが実に誇らしげなんです。どうだ、うちのボスはこんな人なんだぞ!ってね。
普通なら冗談じゃない!ってなっても不思議じゃないんですよ。それがならないどころか自慢のタネにすらなってる。
何故ならば、何よりポール・スミスという人間があまりに魅力的だから。みんなボスを心から慕ってる。この場合崇拝という言葉は似つかわしくない。だだもう、みんなポールという人が大好きなんですね。
こんな会社ありますか?少なくともワタシはここしか知らない。

ただしひとつ、とんでもないことが。
それはポール・スミス氏にお会いすると、もう信じられないくらい疲れる。緊張して、とか気をつかって、とかじゃないですよ。メチャクチャ気さくな人だからね。
なのに何故に疲れるか?それはあまりにもパワーが凄すぎて、こっちのパワーまで全部吸い取られちゃうんです。
いやぁ、これだけは、もう、どうしようもないわ。何せスマホの壁紙にしてるだけでもパワー吸い取られるんだから。
願わくば、ワタシも彼の年齢くらいになる頃には吸い取る側に回りたいんだけどね。でも無理だわ。とてもじゃないけど今から一周回れるとは思えんもん。
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