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~これでも仕事用です~

チェブラーシカのデフォルメ感

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古い話ですが、2010年12月、かねてより日本で製作されていた、完全新作の「チェブラーシカ」が完成し、公開されました。
もちろんワタシはこの新作アニメーションを観に行きました。しかし個人的には、新作アニメーション公開を記念して、渋谷パルコのロゴスギャラリーで開催された「映画『チェブラーシカ』公開記念 チェブラーシカ Art Museum & Shop 」(2010年12月15日〜26日)を観に行ったことの方が印象深いのです。

チェブラーシカ」自体は非常に古いもので、最初に絵本が出たのが1966年、人形アニメーション化されたのが1969年、ということです。
(余談ですが、1930年代のことも扱う本サイトで、1960年代のことを「非常に古い」と表現するのはおかしいんだけどね)
非常に愛らしいキャラクターであるチェブラーシカと、大人でありながらどこかトボけたワニのゲーニャのコンビは古びることなく、二十一世紀となった今でも鮮度を感じます。
でもストーリー自体には、そこまで興味はない。それよりやはり、チェブラーシカの魅力は人形の造型とセットにあると思うのです。
人形アニメーションというとどうしても人形の質感が同じような感じになってしまう。自由自在に可動可能な粘土を材質にしているんだから、否応なしにそうなっちゃうわけです。
ところがチェブラーシカは違う。チェブラーシカ独特の、動物らしい少し毛羽立った感じを上手く表現しています。
というのもチェブラーシカは、人形アニメーションなんだけど、クレイアニメーションではないのです。
クレイアニメーション特有のメタモルフォーゼ(変身、と訳されることが多いけど、手塚治虫の使い方である変幻自在的な意味)な動きは不可能ですが、素朴な動きに味わいがあります。
粘土じゃないんだから、各キャラクターの服地の感じなんかも表現できる。これはこれで非常に面白いんですね。

そしてセットです。
手塚治虫の名前が出たついでにいえば、チェブラーシカのような少し歪んだ建物を幼少時から慣れ親しんでいたな、と思ってたのですが、それは「悟空の大冒険」のエンディングの背景なんです。
あれはシルエットで建物を表現していますが、チェブラーシカは、当たり前ですが、フルカラーで立体です。
でもですね、ああいう歪んだ建物を立体で表現するのは、実はかなり難しいのです。一見無作為に歪んでるように見せながら立体にするわけですから、相当上手く辻褄を合わせてやらなきゃいけない。
ただ、映像ではイマイチ「どれだけ上手く作ってあるか」がわからないのです。
でもそれは全然いいというか、本当のあり方だと思ってる。
というのは、あれはジオラマではなくセットですからね。
ジオラマとセットは似て非なるもので、基本ジオラマはどの角度から見ても大丈夫なように作ってあることが多いのですが、セットは「一定の角度から見た時だけ」完璧に作る。つまり根本的に発想が違うわけです。
いずれちゃんと書きますが、2012年に東京都現代美術館で開催された「特撮博物館」は目から鱗の連続で、レンズの位置を完全に計算しながら作られるのがセット、というのをまざまざと思い知らされました。

とはいえ、やはりチェブラーシカのセットをちゃんと見たいって思うのは人情でして、それが先述した「チェブラーシカ Art Museum & Shop」でしっかり見れたことは貴重な体験でした。(上記画像はその時に撮影したもの)
実際に見て驚いたのですが、奥行きがほとんどないんです。でも考えてみれば当たり前で、正面から撮るのが前提なんだから奥行きは必要ない。
これにはワタシどもの作品である「Gumi-chan1961」も多大な影響を受けました。
実は「Gumi-chan1961」は立体作品でありながら、ジオラマである必要がないのです。建物はあくまで背景であり、時代を活写するには必要ですが、不必要に作り込む必要はない。作り込みすぎると背景としての役割から逸脱してしまう。
それより正面から見た時、如何に空気感が出るか、そこを重要視しています。だからワタシどもの作っているものはジオラマではなくセットなんです。

こういうのはやっぱり生で見ないとわからないんですよね。写真じゃ自分が見たい角度から見れないし。
だから出来るだけこの手のイベントに足を運ばなきゃ、と思っているわけで。

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