読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる
~これでも仕事用です~

フロクという名のペーパークラフト

ジオラマ・人形・デザイン 戦前モダニズム

f:id:gumiyoshinobu:20150930205820j:image

立体ミニチュアでもっとも身近なものといえばペーパークラフトではないでしょうか。

ペーパークラフトは世界中にあり、もちろん日本でも数々のペーパークラフトが売られていますが、実に良く出来たものが多い。
何しろ「紙」だから、耐久性は皆無だけど、手軽に作れる。ハサミとノリさえあれば、いやモノによってはそれすら必要なく、誰でも簡単に作れる。そのわりには凝った大掛かりなものが作れるんだから、そりゃ楽しいに決まってます。

さて話は変わるようですが、以前箱根にある「北原おもちゃミュージアム」に行ったことがあります。
ここの館長は言うまでもなく北原照久さん。北原さんのミュージアムは横浜などにもあるけど、箱根にあるここはスペースも広く、大掛かりなものもいっぱい置いてあります。

この時とは別なのですが、一度北原さんに個人的に会っていただいたことがあり、まだ展示してないんだけど、と言いながらいろいろ貴重なものを見せていただいたことがあります。とくに戦後のカストリ雑誌(終戦後からせいぜい1955年くらいまでの時期に、粗悪な用紙を用いて作られた雑誌。「3号で潰れる」ものが多かったため、粗悪酒の代名詞だったカストリ酒にかけて「カストリ雑誌」と言われていた)は物凄く、北原さん曰く「まだ1000冊くらいしかないんだよ」と仰ってましたが、いやいや、カストリ雑誌1000冊て凄いよ!ワタシもカストリ雑誌には興味があって蒐集しようと思ったことがあるけど、とてもじゃないけど無理、となって諦めるしかなかったしね。

あとまったくの余談だけど、ワタシがクレージーキャッツのファンだと告げると「ああ、あれねぇ、展示してるのはクレージー新幹線(1965年頃ヨネザワより発売)だけだけど、本当はクラウン(トヨタの車種)とバスもあるんだよねぇ。また何かの機会に展示するよ」と仰ってましたが、2015年8月に新宿の小田急百貨店で行われた「北原照久 大コレクション展 必見!名品・珍品・お宝大集合」でクラウンとバスも展示してくれました。感謝!

「Gumi-chan1961」のような立体ミニチュアを作ってるものとして、箱根の北原おもちゃミュージアムで刮目したものがふたつありました。
ひとつはモーションディスプレイ。これはまた今度触れるとして、心底驚いたのがペーパークラフトです。
ペーパークラフト、と書きましたが、これ、ペーパークラフトとして売られていたものじゃない。単なる雑誌のフロクです。しかも戦前の児童雑誌のフロク。
とにかくこれが凄い。正直フロクの域を逸脱している。こんなものが本当に雑誌のフロクでついていた?しかも戦前に?

ワタシは当ブログにおいて戦前モダニズムについて書いてますが、モダニズムに限らず、昭和初期は優れた技術が数多く樹立していった時期です。
ペーパークラフトの技術もすでに戦前の時点で確立されており、ワタシが子供の頃に買っていた児童向け雑誌(「小学◯年生」とか)よりもはるかに高い技術に見える。

ここで上の画像をご覧ください。
たとえば船のペーパークラフト。これ、なんと全長1mくらいある巨大なもので、しかも細部まで実に良く出来ています。(ちなみにエンパイアステートビルも、これはさすがに1mはなかったと思うけどかなりデカい)
さらには万里の長城とかね、風景込みのものも凄くて、とにかくパースの掛け方が職人芸レベルです。

言うまでもないけど、もちろん紙ですよ。キチンと重みがかかる部分まで計算してやらなければあっという間に壊れてしまう。なのに何の破綻もなく、徹底的に計算され尽くした造形を成し遂げている。正直プラモデルよりよほど凄い。下手したらデ◯アゴステ◯ーニより凄いかもしれない。
なんつーか、戦前の子供、贅沢すぎるぞ!
これ、たぶん作るのにかなり時間がかかると思うんだけど、当時は子供向けの週刊誌などなく、すべて月刊誌です。だからひと月たっぷり楽しめるものにしたんだろうけど、この懲りようはハンパじゃない。そりゃ、買うわなぁ当時の子供。つか親にねだるわなぁ。

それにしても、何度もしつこいけど、紙ですよ。普通ならすぐに壊れる。なのに北原おもちゃミュージアムでの展示品は、まるで戦前の世界から直接持ってきたかのようにしっかり作ってある。
よくこんな状態のいいものがあったなぁ。いやいや、もう、これだから北原照久さんには敵わないのです。

広告を非表示にする