~これでも仕事用です~

オー!ジェイミー!

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ワタシが子供の頃、グラハム・カーがホストをつとめる「世界の料理ショー」なる番組が放送されていました。
「料理」と銘打たれているものの、クッキング番組ではなくショウ番組で、たしかに一応料理は作るんだけど、料理そっちのけでグラハム・カーのパーソナリティーを楽しむための番組でした。

この「世界の料理ショー」と、独特のテクニックを駆使する「ボブの絵画教室」の印象は圧倒的で、このふたつの海外製作番組のせいで、ワタシの中でアメリカ人のイメージが決定されたといっても過言ではない。
つまり「一見大雑把、適当極まるんだけど、最後はまったく想像外のまとめ方をする」っつーね。

「アメリカ人のイメージ」とは書いたものの、実はグラハム・カーはイギリス人でして、いや実際イギリス人もやっぱり日本人からすれば大雑把です。つか日本人が神経質すぎるんだけど。
今から15年ほど前、グラハム・カーと同じイギリス人の、若きシェフがテレビ(BBC)に登場します。
彼の名前はジェイミー・オリヴァー。美少年であるにもかかわらず機関銃のように喋りまくり、まさしくグラハム・カー二世といっていい存在でした。

「でした」と過去形なのは、今は美少年の面影すらなく、えらく太ってしまったからですが、見た目以外は何も変わっていない。あいも変わらず喋りまくっています。
ジェイミー・オリヴァーの出世作「裸のシェフ」はスカパーながら日本でも放送されました。
この時吹き替えを担当したのが川島得愛。はっきりいってジェイミー本人よりもジェイミーらしい声で、軽薄な美少年のイギリス人にピッタリでした。

どういう事情かわからないけど、最新作(「ジェイミー・オリヴァーの15分クッキング」)では声優が変わっちゃいましたが、これは変えないでほしかったなぁ。それくらい、そうですね、たとえるならピーター・フォーク(つかコロンボ)=小池朝雄、くらいのマッチングだったんで。
でも、ホンモノのジェイミーはあんな軽薄声じゃない。イギリス人特有のくぐもった低い声で、そんな声の人が、見た目美少年でベラベラ喋るってことに逆リアリティーはあるのですがね。

「裸のシェフ」はセミドキュメンタリーというような形式で、やれパーティーをやるだの、やれカノジョのジュールズとデートだの、やれ親戚が集まるのだの、何かとジェイミーが料理を振る舞うシチュエーションがおとずれる。んで自宅で自慢の腕を振るうってのがフォーマットです。
自宅ったって本当の自宅かどうかはわからないし、テレビ局が用意した「自宅という体」の物件かもしれない。でも奇妙なリアリティーがあったのも事実で、まるでジェイミーの私生活を覗き見している感覚になれる、それが魅力というか「売り」だったはずです。

ちなみにカノジョだったジュールズとは本当に結婚して、今は4人の子供がいます。だから人間関係など大枠は本当なんでしょう。細部まで演出が入ってないとはいわないけど。
何度というけど、彼がかなりの美少年だったため、一躍人気シェフになるわけですが、実際の腕前はどうか?料理人なんだから料理の腕が問われるのは当たり前です。

おそらくイギリスの料理と聞くと「とんでもなくマズい」という連想をされる方もおられると思います。
イギリス人は食事を楽しまない人種だと言われており、しかも「料理をする=キッチンを汚す」ことを嫌がる、とも言われている。
それは間違いだ、と言いたいわけじゃない。実際ワタシもイギリス滞在時に、かなり酷いシロモノを食わされた経験がある。
そんな評判の悪いイギリスの料理ですが、ジェイミーこそがイギリス人の料理にたいするスタンスを変えた、というのもよく言われているのです。

ジェイミー・オリヴァーはイタリアンのシェフです。ですから番組内でも当然ハーブ類は実によく使う。いや使いすぎレベルで使いまくる。
ハーブってね、やたら種類があるわりには、特定の使い方をしないと上手く効果を発揮できない場合が多くて、素人が使いこなすのはかなり難しいのですが、ジェイミーの番組を見てハーブの使い方がわかった、という人も、少なくともワタシが見聞きした範囲ですが、かなりいたわけで。

正直にいえば、ジェイミーの料理はかなり見栄えが悪い。盛り付けや色どりもだし、まな板を食器として使い、オシャレでしょ?っていわれてもね。
でも肝心の味は、というと、ロンドンの街のあちこちにジェイミー・オリヴァーのレストランがあるので行ってみればわかりますが、これが予想外にちゃんとしている。しかも本格的イタリアンというよりは最大公約数的な味で、誰が食べても(もちろん日本人が食べても)美味い。
特にオードブルで出てきたオリーブの美味さは忘れ難くて、ロンドン滞在中に「同じレベルの美味さ」のオリーブを探しまくって、ついぞ見つかりませんでした。

なんだか今はヘンテコな立ち位置になっちゃった感のあるジェイミーですが、ジェイミーのレストランは余裕で使える。最大公約数的な味のわりに若干お高いのが難点ですが、ロンドンに旅行中に「とりあえずマトモなメシが食いたい」となったら使える店ですよ。
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