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~これでも仕事用です~

トドのつまりの神保町

戦前モダニズム
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戦前モダニズムに興味がある人間にとって、神保町は最高の街です。
今ワタシは神奈川県在住ですが、都内にも数年住んでたことがあります。だから人並みには東京の繁華街の雰囲気は把握できているつもりです。
でも、どこかひとつ選べ、となると、やはり神保町になってしまう。実際に住んだことはないんだけどね。

神保町といえば、言わずと知れた古書店街です。紛れもなく国内で最大規模の古書店街で、せいぜい大阪のかっぱ横丁とか、昔あった大阪球場の中に入っていた古書店街しか知らなかった関西の人間には、初めて神保町に足を踏み入れた時は、あまりのスケールの大きさに目眩がしたものです。

神保町の魅力を箇条書きにすれば

・とにかくジャンル別に特化された古書店が複数ある
・実は新書も充実している
・安くて美味い食べ物屋が多い
・たぶん東京で一番戦前の空気感が残っている

国内最大規模の古書店街なんだから古書店が充実しているのは当たり前なんだけど、中でも芸能における戦前モダニズムに興味がある人間にとって矢口書店を外すわけにはいきません。
佇まいからして最高で、店舗そのものが戦前モダニズムの空気が横溢しています。
店内は極々狭いんだけど、もう、すべてがここでないと手に入らないものばかりで(ちょっと誇張した。厳密には大半が、です)、何度行っても感動してしまうのです。
ちなみに矢口書店は戦前専門ではなく、映画・演劇の専門店ですから、戦後のも含めて映画の台本やらチラシの取り揃えが凄い。

話は大幅に逸れるし、戦前モダニズムでも何でもないんだけど、今から14年ほど前、ワタシが大好きな映画(戦後のものです)のボツ台本が矢口書店にあってね。タイトルとかは完成した映画と一緒なんだけど、内容がまるっきり違う。
当時ワタシはサラリーマンでしたが、この台本を見つけたのは給料日の1週間前。財布には9000円しか入ってなかったけど、飲みにとかさえいかなければギリギリやり過ごせる残金です。
で、このボツ台本が8000円。買っちゃったら残り1000円になってしまう。さすがに1000円で1週間は無理ゲーです。
かといって1週間も先延ばしにしたら、売れるかもしれない。つまりもう二度と手に入れることができないかもしれない。
結論は、買うしかない!カネ?んなもん食わなきゃいいだけだろ!と。ま、この後の1週間は地獄でしたけどね。

これは今でもだけど、金欠の時に矢口書店に行くもんじゃない。まったく油断も隙もあったもんじゃないですからね。もう、本当に、とんでもないモノがね、またギリギリ買えないこともない絶妙な値札が付いてやんの。
実際、矢口書店って高くないんですよ。
アマゾンのマーケットプレイスなんかで買うよりずっと安かったりする。むろん交通費はかかるんだけど、新しい発見とかもあるので余裕で元が取れるのです。
余談だけど、日本映画専門チャンネルで放送されたドキュメントドラマ「本日ただいま放送~植木等・幻の主演映画~」で矢口書店が実名で出てきて、店主役をつとめたのが小松政夫でしたが、これは実にいいキャスティングでした。

食い物屋に関しては本ブログの趣旨からズレるので割愛しますがひとつだけ。「さぼうる」という喫茶店は一度行く価値があります。厳密には戦後に出来た店なんだけど、それでも「モダンな昭和」の空気に溢れています。

戦前モダニズムに興味がある人にとって最高なのは、何しろ街そのものが戦前モダニズムの世界なのです。
いや、わかってますよ。もちろん新しい建物もいっぱいある。でも不思議なことに空気感は壊れてないんですね。正直ここまで戦前モダニズムの空気感が残っている街は神保町と、あと人形町くらいじゃないかね。
ちなみに浅草とか柴又とかは戦前モダニズムというより、単に観光地的下町だからね、ああいうのはちょっと違う。

神保町でモロ戦前モダニズムの建物といえば、何と言っても日本タイ協会が入っているビルでしょう。
建立は1929年。まさしく戦前モダニズムの時代!さすがに中に入ったことはありませんが、しばし見入ってしまうこと請け合いです。

他にも紹介したい店や建物はいっぱいあるし、行ったらマジで一日潰れてしまう。だから最近は目的の店にだけ行って、サッと移動する、なんてパターンが多くなりました。とりあえず矢口書店にだけ行く、とかね。
いや、それでも結局、全然「サッと」じゃなくなるんだよなぁ。一店舗しか行かないってなったら、かえってゆっくり見てしまうし。
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