~これでも仕事用です~

二人でひとり

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今回のエントリタイトルは青島幸男作の映画のタイトルからの拝借ですが、これほどこの人たちを的確に言い表した言葉もないと思うわけで。その映画にこの人たちが出てるわけじゃないけど。
んで、この人たちとは、ですが、それはおいおい。画像でバレバレだけど。そうか?

芸能界において「ギャップがある」というのは、けしてマイナスだけではありません。
たとえば昨今めざましい活躍を見せる俳優の遠藤憲一は、コワモテのルックスとは正反対のチャーミングな演技を見せ、一躍人気者になりました。
ワタシの主観では、遠藤憲一同様、ギャップがあったからこそ、より魅力的になった、というカテゴリの中にザ・ピーナッツ(以下、ピーナッツ)も入ると思うのです。

そういや椎名林檎がピーナッツのファンで、彼女たちの魅力を「ダークな声質」と表現したのは、ああ、よくわかってるなぁと。
たぶんリアルタイムでもそうだったろうし、あまりピーナッツのことを知らない世代でも何となくそういうイメージがあると思うんだけど、やっぱ、どうしてもピーナッツというと「可愛らしい、ドメスティックな」みたいな感じになっちゃう。本人たちもプロダクションも、実際そういうイメージで売ってたし。

しかし、双子の、清純な、まるでお人形のようなうら若き乙女がユニゾンで発するその歌声はというと、見た目と相反するダークすぎる声。このギャップはかなり凄い。
ワタシや椎名林檎のようなリアルタイムではない世代は「映像付き」から入ることは少ないわけで(ま、映画はいっぱい出てるけど)、まずはレコードっつーかCDですわな、つまり「音だけ」から入る場合が多い。
となると、お人形さん的イメージは希薄になり、そのダークな声だけが浮かび上がる。
ギャップは楽しめないけど、わりと本質に迫りやすい。リアルタイムでない人間の特権です。

ではリアルタイムでピーナッツはどのように見られていたか、です。
「陸の龍宮」というエントリでもちょろっと触れましたが、ワタシはとあることから、全盛期からの熱狂的なピーナッツファンと知り合うことが出来ました。当然ワタシよりかなり年長です。

この方から聞く話にはいろいろビックリすることがありました。
たとえばファン層。これはプロダクションの狙い通り、やはりファミリー層が多かったらしい。
「いつもコンサートに顔を出す若い男性は、自分を含めて5人ほど。みんな顔見知りで、ピーナッツたちも自分たちのことを認識していた」とはその男性の弁です。
これは何となく非リアルタイム世代がイメージする「若い男性のアイドル」とはまったく違っていたことがわかります。

この人を含めた若い男性のピーナッツファンは、もうひとつ、共通の認識をしていた、といいます。
ピーナッツの単独コンサートはさほど面白くなかった、と。
これまた驚きの意見で、普通はお目当の歌手が出てくるだけで満足しそうなもんですが、そうではなかったというのです。

「ピーナッツの舞台はクレージー(キャッツ)と一緒でないと。両方揃ってこそだった」

言うまでもないかもしれないけど、ピーナッツとクレージーは同じプロダクションに所属していただけでなく、まさしく盟友といえる関係で、「シャボン玉ホリデー」や数々の映画でも共演しています。
もちろん舞台も当たり前のように一緒にやっていました。
そしてこうも言っておられます。

「クレージー単独の舞台も観たことがあるけど、どうもつまらなかった」

当時の記録を見てみると、クレージーは他のナベプロ所属のタレントと一緒に、ピーナッツも当時ナベプロに所属していた藤田まことなどと舞台をつとめていたことがわかります。
それらの舞台をすべて観た人が、いやその人だけではなくある種の共通認識として「ピーナッツとクレージーは一緒でないと」と考えていたというのは注目に値します。

ま、この辺でネタばらしをしますが、今回のエントリタイトル「二人でひとり」というのは、もちろん双子であるピーナッツ自身のことでもあります。
しかしそれ以上に「ピーナッツとクレージー」が「二人でひとり」(正確には二組でひと組だけど)だったわけで。

どうしようもないことだけど、二十一世紀の今、セットとしてのピーナッツとクレージーは容易く見ることはできません。
舞台が不可能なのなもちろん、映画で共演しているといっても正直ピーナッツの主演映画は「おざなり」に作られた感のあるものばかりで、唯一上手い使われ方をしたのは、小美人役で出演した「モスラ」くらいです。
クレージーの映画にも3本ほどピーナッツは出ていますが、ピーナッツの役どころはすべて「歌手」で(つまり劇中で歌うだけ)、芝居で絡むことは終ぞなかった。

となると、数少ない、残っている「シャボン玉ホリデー」くらいしか、ピーナッツXクレージーのヨサは拝めないわけです。
実はもうひとつ、ピーナッツと、クレージー全員ではなく植木等が単独で絡んだ貴重な番組が現存しており、むしろこちらの方が「呼吸」がわかって面白いのですがね。
ま、その辺の話はまた今度。
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