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~これでも仕事用です~

戦前戦中のヘンな歌

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いつの時代にも「ヘンな歌」は存在します。
例えば「およげ!たいやきくん」とか「だんご3兄弟」なんか、あきらかにヘンな歌なんですよね。しかも「ヘンな歌」だからこそメガトンヒットしたっつー。

今回は戦前戦中期の、まァヒットしたかどうかはともかく(実際レコードがどれだけ出荷されたか、この時代のことを調べるのは極めて困難)、とにかく今の視点で「ヘン」だと思える曲を紹介したいと思います。

「百萬円」二村定一
ワタシは見てないのでアレですが、どうも「探偵!ナイトスクープ」で取り上げられたことがあって、一時期話題になったみたいですね。
一応「夢だった」というエクスキュースがあるとはいえ、こんなムチャクチャな歌詞が許されていたってのが凄い。



「笑ひ薬」二村定一
これも二村定一の歌唱ですが、ムチャクチャさ度合いでいえば「百萬円」よりこっちの方が上です。
聴きようによっては覚せい剤推奨にも聴こえるのがコワい。
いくらモラルが違うとはいえ、この曲を聴くだけで戦前が「暗くてガチガチの時代」という認識を訂正できるんじゃないかと。それくらいパワーがあります。



「酒がのみたい」バートン・クレーン
バートン・クレーンという人については、いずれちゃんと書くつもりですが、この人本来は歌手でも何でもない、日本に派遣されたアメリカ人のジャーナリストです。
それがひょんなことから日本でレコードを出すことになったのですが、とくにデビュー曲の「酒がのみたい」はサトウ・ハチローをして「歌詞そのものがすでに酔っ払っている」と絶賛(?)した奇怪なものです。

作詞はクレジット上は森岩雄(後の東宝の大プロデューサー)となっていますが、実際はバートン自身が手がけたようで、母国語でない言葉で作詞したためか、良い意味で支離滅裂なものに仕上がっています。


サイド・バイ・サイド(川畑文子、バートン・クレーン
そのバートン・クレーンと、以前詳しめに書いた川畑文子のデュエット。
なんだけど、これはどういったらいいのか。浮気性の妻(川畑文子)を案じた旦那(バートン・クレーン)が「ひと芝居打つ」という内容ですが、ここまで安手のコントみたいな歌詞は空前絶後です。
しかも旦那役で歌うのがカタコトのバートンなので、奇妙を通り越して異様とさえいえます。


「爆笑行進曲」(阿部徳次)
アルプス一万尺」のメロディにのせて小噺レベルのギャグ歌詞を歌っています。
つまらないだけで別段狂った感じじゃないんだけど、タイトルに「爆笑」とつける感覚は恐れいります。そんなにハードル上げてどうする。


「うちの女房にゃ髭がある」杉狂児美ち奴
これは文句なしの大ヒット曲です。冷静に考えれば何でそこまでヒットしたのか疑問ですが、先述の「およげ!たいやきくん」や「だんご3兄弟」のように「ヘン」さ故、のヒットなのでしょう。

とにかくサビの「パピプペ パピプペ パピプペポ」に尽きます。
スキャットでもなければ擬音でも擬態でもない。マジで妻に詰め寄られた夫が「突然狂った」としかいいようがない。

話は逸れますが、当時の新聞などを見ると、わりと平気で「○○氏、発狂」とか書いてあるんですね。いやいや、仮に「精神に異常をきたした」みたいな表現だったとしても、そーゆーことをオープンにするという感覚が、現代人からすれば考えづらいわけで。


「ルンペン節」(徳山璉)
まず「ルンペン(今でいえばホームレス)という境遇を明るく笑い飛ばす」みたいな感覚からして、現代の人には考えづらいでしょう。
また徳山璉の歌唱が素晴らしいんだわ。やけに説得力があって「ルンペンはルンペンなりに楽しそうだな」とか思えてくるんだもん。


「なんだ空襲」(徳山璉)
「珍品中の珍品」なんて形容がありますが、この曲ほどこの形容が相応しい曲もないと言い切れます。
この曲が発表されたのは、まだ本土空襲なんて夢のまた夢みたいな時期です。

そんな時期だからこそ、こんな空襲をナメ腐ったような歌詞が許されたんだろうけど、いくら「そんな時期」だからって、これはやりすぎです。
メロディはちゃんと軍歌調だし(作曲は何と山田耕筰!)、徳山璉も至極真面目に歌っています。けど、だからこそ逆に不謹慎に聴こえてしまうっつーね。

ま、正直左寄りの方が激怒しそうな歌詞だけど、それより何故こんな歌詞が成立したのか考えた方がいいんじゃないでしょうかね。


ま、あんまり大きな声じゃいえないけど、「爆笑行進曲」を除いて、すべて某YouTubeで聴くことができます。(リンクは張りませんが、検索するだけでフツーに出てきます。「酒が飲みたい」は「バートン」を、「サイド・バイ・サイド」は「川畑文子」を検索ワードに追加)
お時間のある方、ヘンを通り越した狂気の歌を聴いてみてくださいナ。

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