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~これでも仕事用です~

戦前ジャズソングを今の人で聴く

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これまで戦前に作られたジャズソングについて書いてきましたが、正直「本当に素晴らしいから是非聴いてよね」と言いづらいのが辛いところでして。

本当かどうかは知らないのですが、以前テレビで得た知識によると、男性より女性の方がノイズ音に弱いらしいのです。
戦前戦中に録音された、とくにSPレコードを原盤としてつくられたCDは、当然のように盛大なノイズが乗っています。
そういったものを、当ブログを読んでくださっておられるような、うら若き美しい淑女の皆様に聴いていただくのは、やはりちょっと忍びない。

しかも、よく知らない人が歌っているってのもね。
ワタシは「え!?ディック・ミネ知らないとか、マジ?」とのたまうほど傲慢じゃない。別にディック・ミネでもビング・クロスビーでもいいんだけど、そんなの知ってて当然なんて思うわけがない。かく言うワタシだって、たいした知識があるわけじゃないのに。

そこで、戦前戦中のジャズソングを「今のアーティストがカバーした」アルバムを紹介したいなと。
今はどうか知らないけど、ジャズにカバーかオリジナルかみたいな発想が薄いわけで、インスト物なら今でもカバーを主体としているバンドはいっぱいあります。
でもそれではビギナー向けにならないので、有名な人がヴォーカルをつとめた4枚のアルバムを紹介していきます。


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「Cheek To Cheek」(2014年発売、Tony BennettLady Gaga
フランク・シナトラは晩年「Duets」という、当時の有名アーティストと競演した名アルバムを出したましたが、シナトラの正統後継者といえるトニー・ベネットもシナトラとタイトルも同じ「Duets」(2006年)を出しています。
そのベネットが、まさかまさかのレディー・ガガと組んで、しかも往年のジャズソングをカバーする、という、アッと驚く企画がこのアルバムです。

すべてが日本でいうところの戦前の曲ではないのですが、表題曲の「Cheek To Cheek」をはじめとする名曲のオンパレードを、まるでオリジナルの素晴らしさだけを抽出してお化粧直しした感じで、実に良いアレンジなのです。

ベネットの一切年齢を感じさせない歌声も驚きですが、もっと驚きなのがガガで、とにかく表現力が高い。あくまでベネットのペースに合わせながら、それでいて自分の色も出している。
ワタシはガガには興味がないんだけど、このアルバムを聴くだけで優れたアーティストであることを認めないわけにはいきません。


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◇ 「DELICIOUS」(2011年発売)「
DELICIOUS~JUJU's JAZZ 2nd Dish~」(2013年発売、JUJU
これね、知ったきっかけは本当に偶然でね。某ショッピングモールのフードコートに行った時に、英語なんだけど明らかに日本人が歌っている、しかも今風の音の「スウィングしなけりゃ意味ないよ(It Don't Mean A Thing (If It Ain't Got That Swing) )」が流れてたんです。

これが実に素晴らしくてね。さっそく検索をかけてみたんだけど、何とJUJUが歌っているという。最近の人に疎いワタシでもさすがにJUJUは知ってる。もう、ホント、意外〜、としかいいようがなくて。
それにしてもさ、某団体、こういう音楽との出会いがあるんだから、それ取り上げちゃ、本気でマズいよ。

「DELICIOUS」が好評だったようで、2年後に第二弾が発売されるのですが、「It Don't Mean A Thing」が収録されているのは第二弾の方で、個人的にはこちらの方が好きです。
第一弾はどちらかといえばモダン寄りのおとなしい曲が多いのですが、第二弾の方はスウィングしまくっています。
参加アーティストも現在の日本のトップジャズミュージシャンばかりなので、演奏のクオリティも実に高い。

で、JUJUなのですが、ファンの方からは怒られるかもしれないけど、あくまで個人的な意見ですが、あまり歌が上手すぎないのがいい。何というか良い意味での場末感があって、どこか地方の冴えないジャズバーかなんかに、たまたま一流ミュージシャンが揃って、そこに飛び入りで地元の「やさぐれた」、でもやけに艶のある女性ヴォーカリストが歌ってる、みたいな感じなのです。

ワタシからすれば「歌が上手すぎない」ってのも「場末感」ってのも、「やさぐれた」ってのも「艶のある」ってのも、完璧な褒め言葉なんですけど、わかってもらえるかどうか。


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◇ 「Little Miss Jazz And Jive Goes Around The World」(2005年発売、akiko
akikoはレディー・ガガと比べると、いやJUJUと比べてさえ、かなり知名度が落ちます。しかしこれ、かなりいい。JUJUが場末ならakikoは洒落たホテルのラウンジといった感じですか。

この人はジャズヴォーカリストなのでジャズアルバムを出しているというか、古いジャズソングを歌ってても何の不思議もないんだけど、このアルバムは小西康陽プロデュース。そう、あの。どのだよ。ピチカートファイヴの、ですね。←さっさといえよ。

ジャズの範疇からは外れてはないんだけど、やっぱり小西康陽っぽい音になっていて、ジャズを聴き慣れない人からすれば、今回紹介した中で一番聴きやすいと思います。ま、小西康陽の「アク」が嫌いな人からしたら一番ダメなんだろうけど。
とにかく個人的に大好きな「
The Music Goes 'Round And 'Around」が入っているのが嬉しい。


トニー・ベネットレディー・ガガ、JUJU、akiko、全員「スウィングしなけりゃ意味ないよ」を歌っているので、ヴォーカルはもちろん、アレンジを聴き比べてみるのも楽しいです。「古いジャズの『今風』の捉え方」が違うのがはっきりわかる。
これらのアルバムを入り口にして、もしもっと聴き比べたいとなったら、是非とも戦前に録音された古いモノも聴いて欲しい、と思うわけで。

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