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~これでも仕事用です~

1961年の大相撲(1936年も)

1960年代 戦前モダニズム

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プロ野球のことは以前書きましたが、その昔、何年くらい前までなんだろ。とにかく日本の二大プロスポーツが「プロ野球と大相撲」なんて時代は、確実にあったわけです。

今は、プロ野球Jリーグ、といえば、ほんのちょっと「え?」となりますが、日本のプロ野球メジャーリーグ、そしてプレミアリーグセリエAなんかの海外リーグを合わせた形で、まァ、野球とサッカーが二大スポーツだと思うのですが、もしかしたら今の若い人は「かつて大相撲が隆盛を誇っていた」という事実が、もうひとつピンときづらいかもしれません。

少なくともワタシが大学生の頃、時代でいうと1980年代くらいまでですね、大相撲はフツーの人の「よく挙がる話題」でした。
ワタシの子供の頃なんか北の湖全盛期でしたし、学生横綱出身で、何故かその北の湖に滅法強かった朝潮(入幕直後は長岡)の出現に狂喜乱舞したものです。

これが「Gumi-chan1961」の時代、つまり1961年あたりだと、相撲人気はもっと強烈で、しかもこの年、のちに「大鵬柏戸時代(略して「柏鵬時代」)」と言われる両雄がともに横綱に昇格した、節目といえる年なのです。
残念ながら1968年生まれのワタシは、彼らの現役時代を知らない。ワタシが相撲を見始めた頃はともにすでに引退しており、ワタシの時代は先述の北の湖と輪島の両横綱の時代でした。

大鵬といえば「巨人・大鵬・卵焼き」と並び称されたほどの「絶対的な存在」の昭和の大横綱ですが、早熟の天才にして長期間能力を維持した、かなり稀有な存在でした。
何しろ初入幕から1年8ヶ月、21歳という異例のスピードで横綱に昇進し、最後の優勝がそれから10年後の1971年ですから、その凄さは圧倒的です。

柏戸にかんしては、優勝回数その他は大鵬には圧倒的に劣りますが、通好みの取り口で人気も高かったようです。
ただし怪我が多く、また病気などもあって、非常に休場が多いのが難点で、晩年はかなり無理をしていたようで、横綱にもかかわらず辛くも勝ち越し、なんてことが増えていきました。
(この辺は、どうしても北の湖大鵬、輪島=柏戸とダブる。人間性はぜんぜん違うけど)

などと書いてますが、何しろリアルタイムで見てないので、具体的にどういう「相撲」だったのかはわからない。映像は残されていますが、残念なことに今のワタシは、たとえば某YouTubeなんかで熱心に昔の取組を見るほど、大相撲に興味があるわけじゃないのでね。

が、この柏鵬時代にしろ、北の湖輪島時代にしろ、片一方が絶対王者、もう片方が「才能は負けてないのに脆い」という構図は、やはり面白い。
もちろん相撲人気を支えていたのは彼らだけではなく、他の幕内力士にもユニークな(=型にハマれば滅法強い)力士の存在も忘れてはいけませんが。

ところが、たったひとりの絶対王者だけが主役、なんて時代があった。
エントリタイトルに、わざわざ格好付きで書いてるでしょ?(1936年も)って。
当ブログは戦前モダニズムも範疇だから、という無理矢理な理由で、大鵬が昭和の大横綱なら、相撲界最大の大横綱といえるのが双葉山
というわけでコジツケっぽいけど、双葉山のことも触れておきます。

双葉山といえば69連勝です。たいして相撲に興味のない人でも、一定以上の年齢の方に、双葉山の連勝記録はいくつ?と問えば、「69」という数字が返ってくる。大仰にいえば「近代史の基礎知識」とすらなっていると思うのです。

連勝が始まったのは、これが偶然にも1936年。なんと3年越し、1939年まで連勝記録が続いたのです。
と書くと、え?計算が合わないよ?と仰せられる方のために補足。
当時は「公式記録」としてカウントされるのは、年二回の、東京で行われる場所(いわゆる本場所)だけで、大阪場所や名古屋場所は準場所と称され、あくまで地方巡業に近いものでした。
さらにいえば、当時は現在の、ひと場所15日間、ではなく、ひと場所11日間でした。
このような事情もあって戦前は公式記録扱いになる取組自体が少ないのです。

ちなみに本場所以外では、この期間も双葉山は何度か土を付けられており、ただしそれも合算すると、今度は87連勝という、さらに凄い記録になってしまいます。
あと一度怪我で途中休場していますが、これも現在なら休場最初の取組は不戦敗扱いになるわけで、記録が止まっていたことになります。

数字を追うだけで、そりゃ相撲の神様とさえ言われるわなぁと思いますが、つい近年までの相撲人気の土台を作った点も見逃せない。(現在、ではなく、つい近年、と書かなきゃいけないのが辛い)
双葉山というスーパースターが現れなければ、大相撲があれほど絶対的な存在になれたか疑問です。

双葉山の連勝記録は、ちょっと信じられないけど、連勝が始まった1936年1月場所の時点では、まだ彼は「平幕力士」だったのです。
それが関脇、横綱、と「勝つほどに出世」していったわけで、出世譚が包括されていたことも双葉山人気に拍車をかけたんじゃないかと。

余談ですが、戦前の人気漫画「のらくろ」は出世譚を実に上手く取り入れており、劇中でのらくろが活躍する毎に軍人としての位が上がっていく、というシステムをとっています。
このシステムが人気を加速させたのは間違いないようですが、そういうのって日本人は大好きですからね。
今でもそうでしょ?でなきゃ、ちょっと古いところでいえば「たまごっち」とか、最近のアイドル育てゲーなんか、あんなに流行るわけがない。

何か話は逸れたけど、相撲って、面白いんですよ。さっき興味が薄れたと書いておきながらナンですけど。
いろんなことがあって、かなり人気が落ちてしまった昨今の大相撲ですが、やっぱ、絶対王者のスーパースターがいないことの方が問題なような、ね。これは野球にもいえるのかもしれないけど。

もしそういうスターが現れて、しかも双葉山ばりに出世譚の要素まで持ち合わせる存在だったら、あっという間に相撲人気も回復するんじゃないでしょうかね。

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