~これでも仕事用です~

グミちゃんin大阪 前編

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今から10年前、大阪は中之島にある朝日新聞大阪本社内のアサコムホールにて、カズミ・アカオ初の本格個展「上を向いて歩こ♪」を開催しました。
この個展、とにかく大変だったという思い出しかない。というのも「会場が広すぎた」のです。

何しろ10m四方あり、普段はグループ展を行うような場所で、ここで「個人で展示会をやる」なんて誰も思わない広さです。しかも、グループ展より集客が弱い、まして無名の作家が個展なんて主催側も認めてこなかった。
それが、以前ここで行われたグループ展に出展した時の、カズミ・アカオの作品を責任者の人がいたく気に入り、あなた(カズミ・アカオ)なら個展をやってもいい、と言われたことがきっかけで、個展が実現したのです。

ワタシが本格的にグミちゃんに関わりだしたのはこの時からですが、問題はどうやってスペースを埋めるか、でした。
といっても、過去にカズミ・アカオが作ったすべての作品を並べるといったようなことはやりたくなかった。もっとコンセプトに基づいたものにしたかった。そうでないと来ていただいた方が楽しめないから。
そこでこれらの方針を立てました。

・テーマは1961年
・メインとして、商店街の大ジオラマを作る
・グミちゃんの家の居間を実物大で再現する
・過去にカズミ・アカオが作った中で、昭和に関係ある似顔絵人形に限って展示する
朝日新聞に協力してもらって、当時の新聞紙面をパネルにして掲示する

ひとつひとつ見ていきます。
以前書いた通り、それまで「グミちゃんの舞台は1960年代」とあやふやだった設定が、カッチリ「1961年」に定まったのがこの時です。
限定することによって逆にイメージを膨らます、という手法が使えるようになり、よりグミちゃんワールドが明確かつ先鋭されたものになったと思います。

メイン展示物となった商店街の大ジオラマですが、これがのちのポール・スミスinロンドンのプロトタイプになったわけで、例外はありますがグミちゃんの展示といえば商店街、という風に定番になりました。
ただしロンドンの時とは

ポール・スミスのシャツの店、ではなくマユミ洋品店があった
・肉屋ではなく電気屋だった
・火の見櫓はなく、その場所に不動産屋と駅舎があった
・グミちゃんの家の自転車屋があった

などの違いがありました。
これはこの会場の時は幅5m以上使えたのにたいし、ポール・スミスショップでは3.5mに制限されたために一部割愛、変更したわけです。

次。
たぶん「居間を実物大で再現」というのが一番わけがわからないでしょう。
これはスペースを埋めるための苦肉の策なのですが、何故か写真が一枚も残ってないので説明が非常に困難です。
2畳ほどの畳を用意し、その上に本物のちゃぶ台と1960年頃に製造された白黒テレビを置き、さらにハンガーにはグミちゃんが着ているワンピースがかかっていました。

ちゃぶ台はアンティークショップで、白黒テレビはたしかヤフオクかなんかで入手したはずです。
白黒テレビはジャンク品で映らなかったので、改造して映るようにしようと思っていたのですが、時間切れで断念しました。

グミちゃんのワンピースは、わざわざカズミ・アカオのお母さんに縫ってもらったもので、これは写真が残っています。

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モデルになったのは、当時6歳になるカズミ・アカオの親戚の子供で、現在は高校生になっています。
嗚呼、時間の流れの速いことよ。
この女の子、後でもう一度登場します。

これでもまだスペースが埋まらないので、以前京阪百貨店の仕事で作った「昭和スターの似顔絵人形」も並べることにしました。
今見ればかなりざっくりした出来で、カズミ・アカオも「全部作り直したい」といってますが、それがこれらです。

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さらに会場が朝日新聞内というのにかこつけて、当時の新聞紙面をパネルにしてもらい、たしか10枚以上並べたと思います。
事件事故のページではなく、当時の広告欄を中心にしたかなり楽しいものだったんだけど、これも写真が残っていない。なんだろ、当時は展示会の様子を記録として残す、という発想がなかったんだろうか。

しかし、これでもまだ足りない、と思った。
ワタシの中で、これはカズミ・アカオの作品展ではなく、グミちゃんというキャラクターを使った昭和展だと思っていたので、もっといろんな意味で楽しめるものにしたかったんです。
まず「音」として、会場に音楽を流すことにしました。選んだのは三木鶏郎のコマソン。これも以前書きましたが、コマソンとはコマーシャルソングの略です。

こうなると映像も欲しくなる。出来ればグミちゃんを使った人形アニメーションがベストだけど、さすがにそれは無理。何人かの協力者がいるとはいえ、メインはカズミ・アカオとワタシの二人だけ。カズミ・アカオは人形を、ワタシはジオラマその他を作らなきゃいけないので、とてもじゃないけど人形アニメーションなんて作る時間はありません。

そこで発想を変えました。
人形アニメーションは無理でも、イラストアニメーションなら可能なんじゃないか?
もちろんこれも手間っちゃ手間ですよ。でも人形アニメーションと比べたら労力は比べ物にならない。これなら頑張ればできる、と。

しかし実際に作るとなると、本当にいろんなことがあるわけでして。続きは次回。

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