~これでも仕事用です~

粘土の話

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これまで何度か書いたように、2006年のグミちゃんのデザイン変更は大きな起点になりました。
これまでデザインそのもの、そして塗料にかんして書いたのですが、今回は「粘土」にかんして書いていきます。

その前に。「趣味で人形を作ってみよう」となったら、材料をどこで買えばいいのか。
実は非常に多いパターンで「手芸屋」があります。
たしかに手芸屋さんなら粘土はおろか、塗料も布も手に入る。
というか、女性の場合、ハンドメイドとなったら、まず手芸屋、というのはわりとノーマルみたいですね。(言うまでもなく、男性の場合は模型屋)

カズミ・アカオもこのパターンだった。デザイン変更前までは、材料はすべて手芸屋で購入していました。
ところが手芸屋で入手できる粘土は限定されている場合が多い。何しろ手芸屋なんだからテキスタイル、つまり手芸のための材料だったり道具がほとんどで、人形や小物を作るための材料や道具は、ほんのオマケな場合が多いんです。

今はどうか知りませんし、店によっても違うんだろうけど、カズミ・アカオが通っていた手芸屋で手に入る粘土は「ラドール」という銘柄でした。
ラドールは石粉粘土といわれる種類で、オーブンで焼いたりすることなく、紙粘土などと同様、自然乾燥で固まります。
それなりに手早く仕上げないといけないという制約はあるものの、比較的手軽なわりには細かいものを作ることもできるのです。

ところがラドールはひとつ問題がありました。それは表面をなだらかに仕上げるのが難しいのです。
どうしても素人くさいボコボコとした出来になってしまう。これはサンドペーパーをかけても、ある程度しかなだらかにならず、カズミ・アカオにとっても悩みでした。

先ほど書いた通り、2006年にグミちゃんのデザインを変更するのですが、いくらポップなデザインにしたところでラドールで作ってみると、やっぱり「ざっくり」した感じにしかならない。
もうこうなると粘土を変えるしかない、となって、様々な粘土を試した結果、「ニューファンド」という銘柄を選んだ。

ニューファンドも石粉粘土ですが、ラドールに比べてキメが細かく、サンドペーパーで磨いてやると、本当にツルツルになる。実際初めてニューファンドでグミちゃんを作って「まるで一気に造形が上手くなったみたい」とつぶやいたほどです。

ところがニューファンドにも欠点があるわけで、とにかくメチャクチャ硬いのです。
仕上がりも、硬い。それは頑丈ってことだから良いことなんですが、粘土を捏ねてる時点ですでに硬いのです。ラドールと比べても圧倒的に硬い。

サンドペーパーも、ラドールの時はうっかりしすぎると削れすぎてしまってたものが、ニューファンドは力を入れてゴシゴシやってもなかなか削れないのです。
つまり製作時間が余計にかかるようになってしまったのですが、ま、これはトレードオフなんでしょうがない。その分圧倒的に綺麗な仕上がりになるわけだから。

とにかくニューファンドの硬さは閉口もので、あまりの硬さに女性で使ってる人はあまりいないらしい。その点ラドールは紙粘土ほどじゃないけど柔らかいから女性向きなんですね。
だからラドールとニューファンドのどっちが優れているって話じゃありません。用途が違うといった方がいいでしょう。

え?ちょっと待てって?カズミ・アカオも女性だろって?
ところがよくしたもので、この粘土を扱うのに非常に向いた女性、それがカズミ・アカオなのです。

話は変わるようですが、グミちゃんのお母さんは「とんでもない力持ち」という設定です。しかしこれはフィクションではない。
モデルはカズミ・アカオの母君ですが、この方、とにかく怪力エピソードが山のようにある。

・直径1m以上の巨大なタイヤを軽々と持ち上げた
・田んぼにはまった耕運機をひとりで引き上げた
・米俵を両肩に(つまり二俵)担いで歩いていた

その他その他・・・。

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これは2014年にロンドンで展示した作品の一部ですが、これだって本当は「逆」デフォルメしているのです。

普通は「女性が、いくらオート三輪とはいえ持ち上げるなんて、あり得ない」と思われるかもしれないけど、本当は「グミちゃんのお母さんほどの人が、たかだかオート三輪を持ち上げる程度で、こんな気合の入った顔になるはずがない、もっと軽々と持ち上げる」という。

当時、カズミ・アカオの故郷の福井県小浜市では「三大ゴッツイ(物凄い)女」のひとりと噂された、文字通りの豪傑だったのです。
しかしカズミ・アカオ自身は、怪力を受け継いだとはいえません。ま、並程度です。
しかし、指の力だけは、見事に母君から受け継いだ。ワタシも指相撲なんかで全然勝てない。それくらい指の力が強いのです。

この指の力は、硬くて普通の女性が使うのを断念する、ニューファンドを捏ねるのに大いに役立ちました。というか、ニューファンドを使って、あれだけの数の人形を作れる女性はカズミ・アカオくらいでしょう。

ま、指の力だって、才能ですよね。しかしピンポイントで「指」にだけ遺伝が働くなんて、そんなことがあるんでしょうかねぇ。

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