~これでも仕事用です~

エノケン映画挿入曲傑作選1

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何度もいうように、エノケン映画の魅力はエノケン他が歌い踊るシーンですから、本当はエノケン映画を語りたければ筋立て云々よりレビュウシーンを中心に書いた方が伝わると思うのです。

そこで、さすがに全曲は大変なので抜粋ではありますが、レビュウシーンのレビュー(ややこしいな)を書いていきます。
ちなみに曲名は一部CD「エノケンのキネマソング」に倣ってますが、基本的にワタシが勝手につけたものです。クレジットにも記載がないので、もうそうするよりしょうがないので。
もうひとつ。エントリタイトルが挿入「歌」ではなく挿入「曲」なのはインスト物も含むからです。

☆『エノケンの青春醉虎傳』

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「Printemps〜恋する春〜」
エノケンは最晩年(1968年)に「ウイウイ」のタイトル、歌詞違いでレコーディングしていますが、元はエディ・カンターが「Palmy Days」(1931年・邦題「突貫勘太」)の中で歌った「Yes, Yes, My Baby Said Yes, Yes!」の替詞です。
山本嘉次郎の「スタジオではなくロケで歌い踊るシーンが作りたい」という夢が結実しています。

「ロケで歌い踊る」と簡単にいうけど、当時はダビングが出来ず(要は映像と音声を同時収録しなければならなかった)、つまり映像に映らないところでバンドが演奏しなきゃいけないってことで、これをロケ(屋外)で行うのは極めて大変なことでした。

ほぼ初めての試みにしては、マイクも上手く伴奏も歌声も拾えていますが、よく聴くと雑音や風切り音もかなり入ってしまっています。
しかし逆に考えれば、こんなにライブ感溢れる音楽シーンもないともいえるわけで。

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「僕らは嬉しいサラリーマン」「僕こそチーフボーイ」
「僕らは嬉しいサラリーマン」はオープニング、さらには劇中でインストゥルメンタルとしても使われており、本作の主題曲扱いです。歌詞は植木等の「ドント節」のオリジンともいえるものになってるのが面白い。

「僕こそチーフボーイ」の元歌は「リリオム」で、エノケンは「エノケンのリリオム」のタイトルで舞台にかけています。
エノケン版リリオムの歌詞は「なつかしい芸人たち」(色川武大著)の中に記載されています。ま、色川武大が記憶で書いてるので正確ではないでしょうが。
途中、セリフが入るのですが、つっかえたり言い間違いも多く、ほぼ一発録りだったことが偲べます。が、「♪ 青菜に塩だぁ」で綺麗に歌唱に戻るところはさすが。


☆『エノケンの魔術師』

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「これぞ唄うギャング」
元歌はドイツ映画「狂乱のモンテカルロ」(1931年)の中で歌われた「これぞマドロスの恋(原題「Das ist die Liebe der Matrosen」)」。テノール歌手の奥田良三がカバーして日本でもヒットしました。
この替詞はこの映画のために作られたわけではなく「大学無宿」(1934年)という舞台用に菊谷栄が作詞したものです。(「エノケンと<東京喜劇>の黄金時代(「エノケンモダニズムと『大学無宿』部分復活上演」乗越たかお著)」に歌詞が掲載されています)
ギャング団がちょっとドスを効かした感じで歌うのが楽しい。

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「天国と地獄」
カーチェイスシーンのBGMといえば天国と地獄、といえるほどの超ド定番ですが、これは極めて初期の例、もしかしたら本邦初の「カーチェイス=天国と地獄」かもしれません。

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「私のマスコット」
原曲は「月光値千金」ですが、以前書いた通りエノケン映画の中でも屈指の名シーンで、こういう軽く歌うシーンが名シーンになるところにエノケンの本領がある気がします。

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エノケンのグランドマヂックオペラ」
正装したエノケンの歌唱からバスビー・バークレー風のレビュウ、途中追っかけを挟んで、最後はアニメーションに切り替わり、摩訶不思議なエノケンと豚とアヒルの掛け合い漫唱に繋がるのですが、エノケン映画特有のごった煮感覚が集約されています。
それにしても現存するフィルムではカットされている二村定一の歌唱がないのが惜しまれる。ここさえ残っていれば、エノケン映画はここを観ろといえるほどだったのに。


☆ 『エノケン近藤勇

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「侍ニッポン」
古川緑波一座で二村定一的立ち位置だった徳山璉のヒット曲「侍ニッポン」を二村定一が実に朗々と歌い上げます。
直前の、刀についた血糊を斬られ役から即転じた黒子が拭き取るギャグも自然で『近藤勇』の中で屈指のシーンです。

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「ララバイ・イン・ブルー」
当時の最新ヒット曲であるこの曲をエノケン二村定一の掛け合い漫唱で歌うのですが、今となってはエノケン(二役)のセリフがカブっているのがもったいない。

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ボレロ
歌唱ではないのですが、戸板を叩くリズムが「ボレロ」に重なり、以下女中の動きなどがすべてリズムに合っている、という。
ま、これは以前書いたように、今観るとそれほどのものではないんだけど。


☆『エノケンのどんぐり頓兵衛』

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「女にかけちゃ自信があるんだ」
エノケンが歌い、合いの手的に二村定一が絡む掛け合い漫唱ですが、軽い感じがとても良い。

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「大道役者」
ま、本当は「はぁい!」だとわかっているんだけど、どうしてもエノケンの合いの手が「アーイ!」に聴こえてしまう。
別にラッパーでもイルマニアでもないんだけど、イントネーションがまったく一緒なんだもん。

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「惚れた男が親殺し」
原曲は「想い出(Souvenir)」。エノケンはレコードでも同曲をカバーしています(歌詞は違う)。
同作について書いた時も触れた通り、この映画は前半と後半が分離しているのですが、その接続部で歌われており、ちょっと中途半端な感じは否めません。エノケンの野放図な歌い方はいい感じなんどけど。


今回はここまで。

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