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~これでも仕事用です~

笠置シズ子・レコーディング曲傑作選

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ずっと、ちゃんと笠置シズ子の楽曲について書かなきゃとは思っていたんです。でも当ブログで取り上げるには問題が多すぎるわけで。

以前書いた通り笠置シズ子は戦前期から圧倒的なパフォーマンスを(大都市部の人だけとはいえ)知らしめていたのですが、戦前にレコーディングされた楽曲は「たった8曲」しかない。もう一度いいます。「たった8曲」です。
この8曲、たしかに粒ぞろいで、本当に勢いのあった頃の笠置シズ子の魅力が爆発しているのですが、いくら戦前モダニズムに魅せられているワタシでも、この8曲だけをもってして、これが笠置シズ子のすべてです!と言い切る自信がない。

そうなると、「東京ブギウギ」をはじめとする戦後に録音された曲も含まなきゃならなくなる。
それはぜんぜんいいんだけど、この「Goodlucklight!」てなブログは、戦前までが守備範囲で、時代が飛んで1960年前後からまた守備範囲になる。
つまり1945〜1955年という戦後混乱期がすっぽり抜けているのです。

これはあんまりよろしくない、ということで、こんなことこんなことこんなことを書いたけど、まァ、これらは補完の意味があるから、構わない。
でも笠置シズ子の楽曲を語るとなると、完全に補完を逸脱する。Gumi-chan1961の世界と何の関係もなくなる。
でもまあ、笠置シズ子にかんしては例外中の例外ということで勘弁してください。カテゴリも「戦前モダニズム」のままやります。

長ったらしい言い訳はさておき、笠置シズ子の公式レコーディング曲は「遅れてきた世代」である現代の人間にも追いやすい。ほぼすべての楽曲が「ブギの女王・笠置シヅ子」という3枚組CDに収録されているからです。まだディスコンになっておらず、アマゾンでも普通に買えます。

ということで、なるべくわかりやすく、ほんならいっちょう、CDでも買うてみよかいな!と思えるように書ければ、と。

「ラッパと娘」
「ヴォーカルVSプレイヤー」という構図をここまで鮮やかに打ち出した楽曲は後にも先にもない、極めて野心的な曲です。詳しくはココを参照。

「センチメンタル・ダイナ」
戦前の大スタンダード曲「ダイナ」を大胆にアレンジし、よりクールに、より情感的に、そして何より戦前の空気感を詰め込んだ快作です。

「ペニィ・セレナーデ」
ケイリー・グラント主演の同名映画(邦題は「愛のアルバム」)と同年に発表された曲です。(ただし「愛のアルバム」の日本公開は戦後)
「リズムに乗って軽く歌う」という、ダイナマイトヴォーカルの笠置シズ子のイメージとはまた違う魅力を発揮しています。
個人的にはかなり好きな曲で、笠置シズ子とはズレるけど、間奏のピアノソロが良いのです。

ここからは戦後録音になります。

「アイレ可愛や」
録音は戦後ですが、戦中にジャズを歌うことを禁じられた笠置シズ子のために服部良一が作った南方民謡ふうの楽曲です。
桃源郷のような空気感の曲を伸びやかな声で歌っています。

「東京ブギウギ」
笠置シズ子といえは東京ブギウギ、といえる代表曲ですが、手始め、といった感じで、個人的にはその後の名曲の量産の起点としての価値しか見出せません。

「さくらブギウギ」
「東京ブギウギ」が鉱脈だったことは、続いて発表されたこの曲の登場ではっきりします。
春になると聴きたくなる名曲。

「ジャングル・ブギー」
黒澤明の傑作「醉いどれ天使」で歌われたことで有名です。そして作詞が黒澤明なのも、「腰の抜けるのような恋をした」という箇所に笠置シズ子が抵抗し「骨の溶けるような恋をした」に変更になったのも、これまた有名ですね。

「ホームラン・ブギ」
笠置シズ子の楽曲には珍しくサトウ・ハチローの作詞ですが、野球好きで知られたハチローだけに見事に野球ファンのハートをくすぐる歌詞になっています。
2000年代に入ってから吉田拓郎がカバーしてましたね。

「買物ブギー」
空前絶後の大傑作。その後いろんな人がカバーしましたが、こればかりはひとつとして笠置シズ子の歌唱を超えた人はいません。
服部良一から口酸っぱく言われていた「地声で歌え」という指示が全面的に活かされています。

「黒田ブギー」
大ヒットした「東京ブギウギ」に続いて各地のご当地ブギをいくつか発表していた笠置シズ子X服部良一ですが、どれもこれも、セールスはともかくイマイチ出来が芳しくない。
博多をテーマにした「博多ブギウギ」という曲も出してますが、これもイマイチで、しかしとんでもない形でリベンジを果たしています。
誰が「黒田節」を「日本のブルース」と見立ててブギウギとマッシュアップしよう、なんて考えますか!

「オールマン・リバップ」
今度は「オールマン・リバー」とビバップマッシュアップ
ホント、この頃の服部良一は冴えに冴えてますね。

七福神ブギ」
ブギと銘打たれた最後の曲ですが、これまでのブギものの集大成の如く弾みまくっています。
余談ですが、ワタシはこの曲の歌詞のおかげで七福神全員の名前をスラスラいえるようになりました。

「タンゴ物語」
「タンゴの発祥は京都の丹後地方だった!」というオドロキの珍説を歌いあげています。
途中「宮津節」と「ラ・クンパルシータ」が歌い込まれていますが、とくにタンゴの名曲中の名曲「ラ・クンパルシータ」は戦前から笠置シズ子の十八番で、短いフレーズとはいえレコーディングされているのが嬉しい。

「おさんどんの歌」
おさんどん、というのは炊事場専任の女中のことで、悪い言葉でいえば飯炊き女です。
しかしそこは笠置シズ子。徹底的に明るく「おさんどん」という職業を心底楽しんでいるのが伝わる内容になっています。

「私の猛獣狩」
どういう事情か服部良一が外れ、美空ひばりと組んで「お祭りマンボ」などを作った原六朗の作詞作曲です。
基本線は服部サウンドを踏襲しているものの、歌詞、アレンジともにさらに馬鹿馬鹿しさをパワーアップさせています。

「めんどりブルース」
なんと雌鶏の気持ちを歌った怪曲。情感たっぷりに歌えば歌うほど、テーマがテーマなので可笑しい、という。何しろ雌鶏の気持ちですから。

「男はうそつき」
まァ、騙されやすい女をテーマにしたタンゴ調の曲なのですが、湿っぽさなどまるでなく、あまりにも悲惨すぎて笑えてしまう、という中島みゆき(たとえば「ひとり上手」)の元祖ともいえるものに仕上がっています。

いかがでしたでしょうか。いやいや、マジで聴いて欲しいなぁ、カサギ。

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